映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』 レヴュー

映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』 レヴュー

★★★★★★★☆☆☆ 7/10

冒険物語としての面白さはそこそこと言ったところですが、「ユア・ストーリー」の意味が最後に分かる仕掛けが身上でしょう。そこをどう受け取るかで評価が分かれる気がします。

ネタバレ ダメ、絶対

私はドラクエシリーズはあまりやっておらず、原作となったドラクエVも未プレイでの感想になります。

前半は典型的なクエストものとして展開が単調なのと、ストーリーを端折った感もありちょっと退屈に感じますね。結婚相手を選ぶくだりも馴れ初めが描かれないため感情移入出来ず表面的で、尺の問題とはいえもう少し盛り上げて欲しいところ。ただ後半は上手いこと伏線を回収してくる展開もあり、徐々に楽しめるようになってきます。

あと音楽の力を強く感じる作品でもありますね。ドラクエはやったことがなくてもあのテーマ音楽を知らない人はいないんじゃないかと思いますが、映画で使われると高揚感がすごくてちょっとズルイと感じるほど。

後半は盛り上がりを見せるものの、まあこの程度か、というところでのあのラストの展開です。私は完全に不意打ちだったので「お、そう来るかー」と言う感じで楽しめました。個人的にああいう展開は好きなので。

ただゲームを題材とした作品としてはありがちな設定でもあり、どうせならもっとひねったものにして欲しかったとも思います。またそれまでの冒険部分が良く出来ていればいるほどラストの仕掛けが効いてくるので、冒険部分だけで成立するほど面白くないと仕掛けとしては不十分で、その点はもう一つだったかなという印象です。

そんな訳でネタバレした状態で見ると面白さは半減すると思うし、2回目に見て面白いと思えるかというと微妙というのがこの映画の限界とも言えます。それでも予備知識なしで観るなら夏休みの娯楽映画としてそれなりに楽しめる出来ではないかと思います。

CGキャラクターについて少し

原作がゲームでもあり、CGのレベルも高く自然といえば自然ですが、キャラクターには違和感を感じなくもないです。サンチョとかモンスターとかはいいんですが、イケメンや美女の場合だといかにも人形のような造形で、シリコンゴムみたいな肌の質感もあって生命感を感じないシーンもあります。

まあゲームキャラなのでもともと生命はないんですが、そういう問題でもなく、最近話題になったソニックの実写映画化といい3DCGでのキャラクターデザインの難しさを感じさせます。

2Dアニメのキャラデザは省略の美学で成立している面もありますが、3Dだとこの技は使えないわけで、CGの進化とともに今後どういう変化を見せるかは楽しみな点でもあります。