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Netflixオリジナルアニメ『ULTRAMAN』レヴュー

Netflixオリジナルアニメ『ULTRAMAN』レヴュー

©TSUBURAYA PRODUCTIONS ©Eiichi Shimizu,Tomohiro Shimoguchi ©ULTRAMAN製作委員会

★★★★★☆☆☆☆☆ 5/10

Netflixオリジナルとして4月1日から全13話が配信開始された『ULTRAMAN』。

新時代に向け新しいウルトラマン像が期待されるところですが、無理があるストーリー展開に序盤から興味を削がれ、キャラクターの掘り下げも浅く魅力が感じられません。フル3DCGの映像も期待したほどではなく、平成最後のウルトラマンとして有終の美を飾ることはできなかったように思います。

等身大のウルトラマン

原作は「月刊ヒーローズ」に連載中のコミックで、監督は『攻殻機動隊 S.A.C.』の神山健治と『APPLESEED』の荒牧伸志のW体制。

光の巨人が地球を去ってから月日は流れ、図らずもその力を受け継いでしまった早田隊員の息子が主人公という設定で、巨大化せず等身大の姿で人類の未来を背負うことになります。

言われるままに戦っていた主人公がその覚悟を決めていく成長譚であり、メインのメンズたちのからみや時折挟まれるコメディ要素、モーションキャプチャでの戦闘シーンは近年の特撮ヒーローものの流れに沿った作品と感じます。

薄いキャラとストーリー

主人公のとりあえずウルトラマンやってみました的なフワフワ感は、高校生らしくてリアルといえばリアルなんですが、あまりにも特徴がないキャラでヒーローものの主人公としての魅力に欠けるように思います。なんの取り柄もないキャラが異世界に転生したアドバンテージだけでやっていく系の作品に通じる軽さを感じますが、最近はこういうものなんでしょうか。

自分から市街地に飛び出しておおっぴらに戦っておきながら、アイドルが何故か急に始めた身の上話で自分の戦闘で傷つく人がいることを初めて自覚するみたいな流れもさすがに無理筋でしょう。

市街戦になるのも裏で仕組まれていたみたいな描写がありますが、不確定要素が多すぎて作戦として成り立ってないし、逃げようともしない群衆も不自然です。見せたいシーンを並べて後から適当に理由をつけたような杜撰さを感じます。

その後も幾度か新キャラが登場し、彼らを軸にした話が展開されますが、こちらは癖が強いというか言ってみればkzばかりで、その言動の背景もロクに説明されないか特に理由のないシスコンだったりで説得力がなく、主要キャラの誰にも感情移入出来ないのは正直ツライ。マネージャーの白石さんだけが救いです。

ツベコベ言わずにアクションだけ見てね!という作品なのかも知れませんが、そのアクションも問題なしとはいかないように見えます。

CGモーションの不気味の谷

日常シーンやアクションシーンの一部はモーションキャプチャを使用しており動きはリアルで、個人的に光る棒を振り回すドルオタの集団はお気に入りのシーンです。

しかしいざウルトラマンの人間を超えた力を表現するとなると途端にいかにもCGで作りましたという動きになってしまい、不連続かつ不自然さが目立ちます。言ってみれば不気味の谷現象の「動き」版で、モーションキャプチャは優秀だっただけにCGももう少し頑張って欲しかった。

等身大という設定はモーションキャプチャが生かせるというメリットもありますが、それだけでは実写のニチアサと差別化できないというデメリットも感じます。別に3DCGでプロレスが見たいわけじゃないんで。

自動車や貨物を飛ばすシーンは物理エンジンでちゃんと計算しているようで自然ですが、例えばウルトラマンが大きくジャンプするシーンでは手で動きをつけているようで軌道が妙に不自然に見えます。人間離れした力を持っていようがそこに働く物理法則は同じなわけで、なぜ同じように扱わないのか理解に苦しみます。

本作に限った話ではないですが、CGを使ったアニメでは静止状態からいきなり等速直線運動をするような物理法則ガン無視のモーションが横行しており、その多くは演出ではなく単に楽だからそうしているようにしか見えません。

現状では才能のあるアニメーターがイチから手で描いた方が「こうなるはず」という動きを断然リアルに表現できており、円谷関連でいえば『SSSS.GRIDMAN』での慣性を感じさせる動きでその巨大感を表現するカットなど圧巻でした。こうした現実には存在しないものをリアルに描写するのは本来物理エンジンと相性のいいCGアニメの方が有利なはずで、実際海外の映画作品などではそうしたシーンを見ることもありますが日本のアニメでチャレンジしている作品は寡見にしてほとんど知らず、残念なことです。

他にも爆発のタイミングや薄っぺらい煙とか(特撮の合成をわざわざ再現しているのかもしれませんが)予算的な制限もあるんでしょうがCGの表現には期待外れな点が多かったです。ULTRAMANが他の作品に比べて特に悪いというわけではないものの、正直フルCGもまだこんなもんかという印象は拭えません。

まとめ

私はウルトラマンに特別な思い入れのある人間ではないので、小ネタなどが刺さらないという面もあるとは思いますが、看板を外して見ればストーリーにしろ映像にしろ特に評価できる点があるとは感じません。

これがGRIDMANだったら…というのはNetflixの中の人も感じているんではないでしょうか。ビッグネームに頼った手堅いビジネスもいいですが、クリエイターに大きな裁量を与えることで知られているわけですし、熱意のある若手に機会を与えるような作品も期待したいところです。

ULTRAMAN (Netflix)

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