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映画『HELLO WORLD』レヴュー

映画『HELLO WORLD』レヴュー

©2019「HELLO WORLD」製作委員会

★★★★★★☆☆☆☆ 6/10

SFとしての設定や脚本上の難点も目立つ上、テンプレ通りのヒロイン像や既視感の強い映像など、多くの面で凡庸という印象は避け難いです。

以下多少ネタバレがありますのでご注意を。

SFなんて飾りです

『ソードアート・オンライン』の伊藤智彦監督によるオリジナルアニメーションで、公式の謳い文句としては「新機軸のハイスピードSF青春ラブストーリー」とのことです。

もっとも、未来から来た自分によって歴史を変えようとするという大筋は古典的なSFそのもの。一応この作品としては、変えるのは過去ではなく記録されたデータというのが工夫なわけですが、色々と設定をいじってはいるものの強引で不自然な点も多く、正直裏目に出てしまったように思います。

そもそも記録装置なら事件直前のデータを読み出せばいいだけで改変する必要も無いと思うんですが、マッチポンプのピタゴラ装置ばりの回りくどいやり方や、データ世界特有の何でもアリな展開を見ると、SFというのは「青春ラブストーリー」を成り立たせるためだけの体裁でしかないと感じてしまいますね。

その「青春ラブストーリー」の方も、あずにゃんっぽいヒロイン同様テンプレ展開だし、ラストの落ちを含めストーリーは想定内の展開が淡々と続く印象で、作品独自の魅力には乏しいです。脚本は『正解するカド』の野﨑まどですが、この辺の中途半端な印象は相変わらず。

実世界とデータ世界の扱い方という意味では『電脳コイル』を彷彿とさせる所もありますが、こういうのを見てしまうとやっぱり電脳コイルは偉大だったなあと改めて思います。

CGメインの映像だが

キャラクターを含めCGが多用されており、作品のアピールとしてはストーリーよりこっちの方がメインなのかも。

とは言え、セルアニメ的なCGキャラも大分こなれて来た昨今では驚くほどでもなく、映像の演出的にも既視感のあるシーンが多いです。あと原色を多用したエフェクトは個人的にはセンスがいいとは言い難い。

ただ、CGモデリングされた京都の街中を自転車で逃げるシーンはかなり良かったです。ああいうシーンがもっと多ければまた印象も違うんですが、相当大変そうなんでやっぱり厳しいのかな。

あと唐突に板野サーカスが始まって何事かと思いましたが、スタッフとしてクレジットされていました。

printf(“hello, world\n”);

ちなみにですが、タイトルの「HELLO WORLD」という言葉は、新しくプログラミング言語を学習する際に最初にこの文字列を出力するプログラムを実行してコンピューターサイエンスの偉大なる先人たちに敬意を表するのが節度あるプログラマの嗜みとして知られているものです。

作品の内容に引っ掛けてこのタイトルを選択したと思われますが、科学技術に対する洞察を感じさせるような要素も無いし、映画として新しい世界を見せてくれるには至らなかったようです。

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