映画『ニンジャバットマン』レビュー

映画『ニンジャバットマン』レビュー

★★★★★☆☆☆☆☆ 5/10

6月15日公開の『ニンジャバットマン』。中島かずき脚本に神風動画ということで観に行ってきました。

日本でアニメ化するんでニンジャで。という安易さは嫌いじゃないですが、タイトルからそこはかとなく感じる出落ち感が悪い方に的中してしまった感じでしょうか。

ややネタバレあり。

神風動画と中島かずきの異色タッグ

アニメーション制作は『ポプテピピック』や『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズのOPなど、独特の映像表現には定評のある神風動画。監督の水崎淳平は神風動画の設立者であり、代表取締役でもあります。

脚本の中島かずきは『キルラキル』や『天元突破グレンラガン』でアニメファンにもおなじみですね。破天荒ながら有無を言わせぬ熱い展開で魅せる熱量と力量は他に得がたいものがある存在です。

そんな異色のコンビでバットマンのアニメ化が実現。DCコミックスも懐が深いなあ。さて結果は如何に。

舞台は戦国時代の日本

ストーリーはゴリラ・グロッドの時空転移装置によって、バットマンたちがゴッサムから日本の戦国時代にタイムリープするところから始まります。

まあ『ニンジャバットマン』ですからね。ニンジャ出てこないとねニンジャ。

ジョーカーをはじめとするヴィランたちは戦国大名として各地を支配しており、こいつらを倒して元に時空に戻すというのが大まかな流れです。

バットマンのキャラが多数登場するので、ある程度知識がある方がより楽しめるかも知れません。知らなくてもああそういう立ち位置の人なのね、ぐらいは分かると思いますが、ちょっと混乱しそうです。

バットマンのキャラが日本の戦国時代にタイムスリップするということで細かいネタが散りばめられているんですが、そういう小ネタが本作で一番面白かったところかも知れません。ウェインがザビエルなのは卑怯だわ。

映像は見応えあり

青海波文様の空など、絵柄や色彩は日本画っぽいテイストになっており、特に西洋絵画の影響を受けた明治期の浮世絵のような味がありますね。キャラクターが南蛮人っぽい衣装なのも面白い。3DCGアニメですがそれでこの味を出すのはさすが神風動画と言ったところ。題材に合わせた選択でしょうがハマっていると思います。

あとジョーカーの表情の動きがすごいです。表情がコロコロ変わるというのは可愛さを形容する時によく使う表現ですが、ここではいかにもジョーカーらしい邪悪さや狂気が上手いこと表現されていますね。

ニンジャといえばチャンバラというわけで、アクションシーンの動きやカメラワークなども迫力があり見応えがあります。ジャパニメーション的な演出が面目躍如と言ったところ。

クールジャパンとは

そんなわけで設定や映像は見るべきところがあるんですが、問題は後半の展開ですね。

クライマックスでは日本のロボットアニメや特撮ネタが満載で、もちろん狙ってやっているのは分かりますが面白いかと言われると正直スベっているようにしか感じない。

バットマンとしてのお約束と、日本のアニメとしてのお約束をくっ付けただけで、組み合わせの意外性こそあるもののそこに何の化学反応も起きていないというか、新しい面白さが生まれていないと思うんですよね。

キュウリに蜂蜜をかけて食べたらキュウリと蜂蜜の味がした、という感じでさすがにもう少し工夫がないと料理として成立していないというか。バットマンでロボットが合体した、という出落ち感だけで終わってしまいネタアニメとしても十分楽しめません。

ニンジャアニメでいえば『ニンジャスレイヤー』の方がよほどクレイジーで面白く、どうせならあれぐらい突き抜けて欲しかったです。

まとめ

映像や小ネタには見所があるものの、テンプレだけで構成されたような内容でストーリー展開は微妙。

盛大なネタアニメとして見れなくもないですが、さすがにもう少しひねりが欲しいところです。

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