今期は「さらざんまい」と「キャロル&チューズデイ」の2強だったと思います。オリジナルアニメが頑張っていたのは嬉しいですが、全体的には不作だった印象。
2019春アニメ ベスト4
01 | さらざんまい
幾原邦彦監督の『ユリ熊嵐』以来となる新作アニメ。百合から一転ホモホモしい内容でしたが、ブッ飛んだ演出やケレン味溢れる映像表現は健在で、見ているだけで楽しい。アニメでしか表現できないイクニイズムは他の追随を許さない域に達していますね。
謎の多い展開も相変わらずですが、ギャグとしてもシリアスとしても楽しめ、映像のみならすストーリーテリングの面白さも第一級。ただ、隠喩に隠喩を重ねるような過去作品に比べれば本作は分かりやすく、メッセージ性よりは純粋にエンタメを目指したようにも感じます。
それにしても幾原監督は本当に外れ知らずでどの作品も面白く、独自の演出法が確立しているとは言え驚異的。同時代に生きていて良かったと思わせてくれる数少ないクリエイターです。
配信:Amazonプライム・ビデオ | dアニメストア | Netflix 他
02 | キャロル&チューズデイ(2クール継続)
こちらも大御所、『カウボーイビバップ』などを手がけた渡辺信一郎が総監督を務める作品。音楽を通じて偶然出会った二人の少女がミュージシャンとして大成するまでを描く王道のサクセスストーリー。
音楽をテーマとしたアニメは多いですが、演出でいい曲っぽく見せるのではなく、純粋に音楽が素晴らしいと思わせる稀有な作品。渡辺監督は音楽好きらしいですが、相当な力の入れようです。
ストーリーは基本王道ですが、今っぽい設定も盛り込んでありがちにならないよう工夫されており、楽しめます。たまにしょうもないネタが入るのは監督の趣味なんでしょうが、2クール以上が普通だった昔のアニメっぽい寄り道の多い展開もまた良し。後半も楽しみです。
配信:Netflix (独占配信)
03 | ひとりぼっちの○○生活
原作は「三ツ星カラーズ」のカツヲによる4コマ漫画。人見知りのぼっちがクラス全員と友達にならないといけない羽目になり、頑張ったり頑張らなかったりするゆるーいコメディ。
徐々に友達が増えていくほのぼのストーリーの中、緊張するとゲロを吐くヒロインを始め残念過ぎるアルちゃんなど濃いキャラによるギャグもキレが良く、いい具合に緩急があって飽きさせない。
制作は尻アニメとしても一部から評価が高かった「はるかなレシーブ」のC2Cで、今作も女子中学生のまったりした日常を丁寧な作画で描いており好印象です。今後にも期待。
配信:Amazonプライム・ビデオ | dアニメストア | Hulu 他
04 | 世話やきキツネの仙狐さん
社畜の幻想郷をあまりにもストレートに具現化して全国に衝撃が走ったアニメ。死んで異世界に行く必要なんて無かった。
しかし一見癒しアニメの皮を被ってますが、マッサージで踏んでもらったりお風呂で背中を流してもらったり、心の汚れた大人にはもはや隠喩ではなく完全に直喩で、これ絶対にFOXだよねと言わざるを得ない。この辺も原作者は心得ているというか狙いすましてるなー。
動画工房にしてはアニメーション的にゆるめでしたが、内容もゆるいので何も考えずに見られてこれはこれで良いのかも知れない。うやん。
配信:Amazonプライム・ビデオ | dアニメストア | Hulu | Netflix 他
OP・ED大賞
OP | キャロル&チューズデイ
水彩画のようなタッチとパステル画のような色彩で、ミュージカル映画のように踊るOP。曲も良い。独特の世界観を上手く表現していて、ただのアニメじゃないことを見せつけます。
今期でいちばんオサレで賞。
ED | さらざんまい
実際の浅草の風景に白い幾何学模様の光跡が現れる現実的な非現実。カメラのブレにも追随していたり、オブジェクトの奥行きを認識していたり、地面での光の反射もあり、技術点も高いですね。
今期でいちばんクールで賞。