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映画『二ノ国』レヴュー

映画『二ノ国』レヴュー

©2019 映画「二ノ国」製作委員会

★★★★★☆☆☆☆☆ 5/10

ストーリーの一貫性のなさや御都合主義がかなり目立ち、これで「命の選択」と言われても何の感慨ももたらしません。映像的にももう少し頑張って欲しかったところ。

作品について

「二ノ国」はもともとレベルファイブが開発したゲームで、映画化に際してはレベルファイブの設立者でもある日野晃博が製作総指揮・脚本も務めています。

設定は原作のゲーム準拠らしいですがオリジナルストーリーという事で、私もゲームはやっていないんですが映画を見るのに原作の知識は必要ないでしょう。

世界設定としては、現実世界とパラレルワールド的なファンタジー世界が存在して、それが「二ノ国」と呼ばれています。二つの世界は対になっていて、その住人にも対となる存在がおり、一方の命と他方の命が繋がっているとされています。

以下、核心は避けますが若干ネタバレがあります。

脚本がザルすぎる

映画の感想としては、とにかく脚本がザルすぎてひどい、の一言。ツッコミどころを挙げだすとキリがなく、ヒロインの中の人の声優としての演技力など全く問題と感じさせない程です。

ざっくり話を説明すると、二ノ国のアーシャ姫を排除しようとする勢力によって現実世界で対となる少女のコトナが襲われ、コトナの彼氏のハルとその友達であるユウの二人の少年がコトナを救うために二ノ国に向かう事になります。二人は二ノ国でアーシャ姫がコトナの対であると悟るんですが、コトナを救う方法について対立が生じます。

この対立が本作の肝であり、キャッチコピーも「命を選べ」と大層な事を言っているんですが、その内容がお粗末と言う他ないです。

二つの世界の人物の命が繋がっているとして、ユウは一方が死ぬと他方も死ぬと主張し、ハルは一方が死ぬと他方が助かると主張するんですが、後者はそもそも対となる人物が両方生きている時点で明らかに論理的矛盾があるし、最初にコトナが襲われた理由が説明できません。

にもかかわらず、一方が死ぬと他方が助かる説を頑なに信じるハルの態度はあまりにも無理があり、ストーリー展開上二人を対立させたいんでそうしました、という脚本上の都合しか感じません。その対立を自然で納得できるものにするのが脚本の仕事のはずなんだけど。

また、後半でハルが考えを改める出来事が起きるんですが、これまたなぜそれで考えを変える事になるのか、その理由が私には全く理解できません。私の理解力が足りないんでしょうか。

もう一つ致命的なのは、ユウは冷静沈着な理論型で、ハルはアクティブな感情型と、二人は物語を通じて性格が真逆で対照的なタイプとして描かれます。最後のオチまでは。詳しくは避けますが、あのオチでは二人のキャラクター設定を自ら否定しているし、物語の一貫性を破壊しているとしか思えません。もっとも、もし一貫性があったらの話ですが。

とにかく始終そんな感じで、脚本の日野氏はゲーム開発でプログラミングもしていたそうですが、物語の整合性や必然性には全く無頓着でバグだらけいうのは不思議な話ではあります。脚本家生命は選ばない方が良かったのでは。

映像的にも魅力に乏しい

ゲームの「二ノ国」からジブリがアニメーションを担当していたという事で、監督の百瀬義行も続投という形です。キャラデザなどがジブリっぽいのはその経緯によるものでしょう。

映像的に質が悪いという程ではないんですが、やはり過去のジブリ作品と比べてしまうと物足りないというのが正直なところです。CGも随所に使われていますが、ゲーム制作会社が作っているにしてはもうちょっと頑張って欲しいと思うところもあります。

最近ではジブリっぽいアニメ映画というだけで身構えてしまう流れができてしまったように感じますが、本作もその流れから抜け出せたとは言えないように感じます。まあ今回に関してはその責任はほぼ脚本のせいなわけですが。

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