ストップモーションによる各話約10分のショートアニメ。
リラックマたちのモフモフ感やストップモーションならではの動きはその世界観をうまく表現していて、見ていて楽しいです。
ただカオルさんのOLとしての生活の描写はありがちな上に出来がよろしくなく、この作品に必要だったのかは疑問です。
ストップモーションという選択
この作品は実際のオブジェクトを1コマ1コマ少しずつ動かしてはカメラで撮影するいわゆるストップモーションアニメです。
フル3DCGアニメも珍しくない今、なぜストップモーションなのかという疑問もありましたが、実際見てみると表現したい内容に合わせた形式を選択した結果だと納得出来る仕上りです。
まずリラックマのこの質感。アニメやCGでは表現が難しいですが、実際のモノを撮影する利点が生きています。撮影は4Kとのことで圧倒的なモフモフ感。一般のアニメで4Kが普及するのはだいぶ先になりそうですが、4Kのカメラなど今時珍しくもなく、この点でもアドバンテージがありますね。
またコマ撮りによる動きの表現も独特の味が出ていていいですね。タイトルバックが毎回かわいい。CGだとヌルっと動いていたんでしょうが、こちらの方がリラックマという世界観に合っていると感じます。物を食べるシーンも自然で何気にすごい。
その他セットや小物なんかも細部まで作り込まれていて、金がかかっているというか気合が入っている印象です。また、多部未華子さんによるカオルさんの声も自然で良いですね。他のアニメにも出て欲しい。
そんなわけで表現の形式という意味では申し分ないクオリティだったんですが、内容の方がそれに追いついていないのは残念です。
ストーリーについて
話としてはリラックマたちとのファンタジーな生活と、カオルさんの人間としての生活の2つから構成されますが、前者は総じて楽しいのに対して後者の出来はイマイチです。
こういう作品には癒しを期待する人が多いと思うんですが、人間ドラマとしては1話からちょっと気が滅入る展開で、日常のストレスを忘れようと思って見たらそれをほじくり返されるという、方向性というかバランス調整に失敗している感があります。
特に序盤は働く女性の共感が欲しくて入れました的な見え透いた話が多く、他のドラマで散々やられているような話をわざわざこの作品でする必要があるのだろうか。
またカオルさんは真面目なOLという設定の割にはお花畑な言動も多く、映像にかけられた手間に比べてストーリーの方はよく練られているとは言いがたいものがあります。
一人暮らしのOLの部屋に着ぐるみを着た何かが住んでいるという設定自体がよく考えればダークなわけだし、この作品ならではの部分を掘り下げたほうがもっと面白みが出たのではないかと感じます。実際リラックマたちがバイトする話なんかはかわいいし面白かったです。
最後に
ストップモーションというと懐かしい感じもしますが、4Kでの撮影ということもあって改めてその魅力を感じることが出来たのは収穫でした。
アニメは表現手法の多彩さもその魅力の一つなので、こういう流行りに左右されない作品作りもNetflixオリジナルには期待したいですね。
リラックマとカオルさん (Netflix)