2022冬アニメ 勝手にベストアニメランキング

2022冬アニメ 勝手にベストアニメランキング

2022冬アニメ ベスト3

1 | その着せ替え人形は恋をする

ラッキースケベのあるハウルの動く城

人形の頭師を目指すぼっちの男子高校生が、スクールカースト上位のギャルとコスプレを通じて急接近するというラブコメ。

自分とは正反対の相手に惹かれるというのは珍しい話ではないですが、この作品は中でも『ハウルの動く城』と同じ物語構造を持っていると言えそうです。

自分の若さと美しさを拒絶し老婆のように生きるソフィーは五条くんであり、才能あるイケメンだが子供っぽく生活力のないハウルは喜多川さんという訳です。本来は相反するはずの二人が、恋というもう一つの「魔法」によって互いに補完し合い、これまで知らなかった・否定していた世界のもう半分を共に生きることになります。

これは表面上はラブストーリーですが、自分の殻に閉じこもっていた若者が自身の内なる価値に気づく、あるいは世界に自分が生きる意味を見出す、変容と自己実現の物語でもあります。この点が『着せ恋』(と『ハウル』)の素晴らしいところですね。

オタクに優しいギャルというのは薄い本などでは定番のネタですが、結局のところボーイミーツガールであり、であれば『ハウル』のような展開も可能なはずです。それを見事にやってしまったのがこの作品であり、しかもジブリでは絶対に見られないラッキースケベ付きです。これはもう面白くないはずがないのです。

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2 | 地球外少年少女

揺籃期の終わり

『電脳コイル』の磯光雄監督による実に15年ぶりとなる新作アニメ。

基本的には彗星の破片が衝突した宇宙ステーションからの脱出劇ですが、伏線の張り方や展開の仕方、コメディとシリアスのバランスなど、緻密で密度の高いプロットはなかなか見られないレベルで、前作で見せたストーリーテラーとしての能力は健在です。

映像的にも、宇宙ステーションでの近未来的ガジェットの数々や低重力環境の表現などギミックも満載で、これを見ているだけで楽しめますね。

ただ宇宙開発や人工知能はやり尽くされているテーマでもあり、ラストでの展開を含めこの点では驚きを感じさせるとは言い難いです。『電脳コイル』の都市伝説的な怪談とサイバーパンクが融合するという非常にオリジナリティの高い設定と比べると、もっと新しい世界を見せて欲しかったなとは思ってしまいます。

とは言えオリジナルストーリーでここまで勝負できるアニメ監督は殆どいないのは確かで、寡作な事だけが残念です。

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3 | 平家物語

ただ春の夜の夢のごとし

『けいおん!』や『リズと青い鳥』の山田尚子監督が、京アニではなくサイエンスSARUで、しかもキャラクターデザインがまさかの高野文子という驚きの布陣で贈る『平家物語』。

『耳なし芳一』の芳一は琵琶法師で、ある晩平家の怨霊に請われて壇ノ浦のくだりを弾き語りますが、すると当事者であるはずの彼らすら涙を流し、七晩の演奏を求めます。長年の淘汰を生き残った古典はいわば究極の鉄板であり、筋を知っているのに聴く度に泣いてしまうという力があります。

「先の見える」少女であるびわの存在は、物語の語り手であると同時に、『平家物語』をよく知らない現代人にもこの古典の味わいを擬似的に味わってもらうための舞台装置でもあるでしょう。

劇中では輪舞曲のテーマのように花鳥風月のカットが繰り返し現れます。春になれば桜は毎年同じように咲きますが、それを見る人々のいかに移ろいやすいことか。当時も今も変わらないであろう自然の美しさが背景幕となり、人間の運命の無常さを際立たせます。

基本的に原作には忠実で、古典のもつ不変的な価値をアニメという形式でうまく表現できているのは監督の抜きん出た演出力のなせる技と言えると思います。これを1クールでやるのはやはり短い気はしますが。まさに春の夜の夢のようです。

(FODで去年の秋から配信されていましたが、この冬に見たので冬アニメとしておきます。)

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