2021 ベストアニメ

2021 ベストアニメ

年の瀬ということで今年一年を振り返り、お気に入りのアニメベスト10を選んでみました。今年はモルカーやウマ娘のヒットが話題になりましたが、オッドタクシーのようなオリジナリティのあるアニメの登場も印象的でした。

1 | PUI PUI モルカー

今年いちばんプイプイ

もふもふのフェルトでできたキュートなモルカーたちが、ブラックな人間に使役されながらユーモラスな表情で動き回るその姿は、面白さでもビジュアルのインパクトでも今年のベストに挙げざるを得ません。

セリフなしの3分のストップモーションアニメですが、ゾンビから魔法少女まであらゆるジャンルをパロディしまくるという貪欲な創作意欲と、かわいいだけにとどまらないその表現力がすごいです。

新しい才能というのはいつも意外な所から現れるものですね。

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2 | シャドーハウス

今年いちばんコーヒーうまい

そもそもシャドーというのが心理学用語でもありますが、お陰様の顔を演じる生き人形は文字通りのペルソナです。また社会への参入資格を得るための試験であり失敗すると命の危険もあるお披露目は、文化人類学で言うイニシエーションそのものです。

こうした心理学的概念を現実に実在するものとして描くことで人間の内面的世界を表現しようとする手法は、エヴァの「ATフィールド」が有名な例ですが、『シャドーハウス』はこの手法がもっとも成功している作品と言えると思います。

官僚的階級社会の中で自分を演じることしかできない「生き人形」たちに、自分自身の姿を見てしまう現代人は少なくないのではないでしょうか。

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3 | ウマ娘 プリティーダービー Season 2

今年いちばんうまぴょいしたんだ!

ゲームのリリースが大幅に遅延したお陰かは分かりませんが、第2期も制作されたウマ娘。今回はトウカイテイオーとメジロマックイーンを主軸に据えたストーリーになっています。

実在の競走馬をモデルにしているため、そのドラマチックなレース結果を援用できるとは言え、それを「ウマ娘」というファンタジーな世界に落とし込むのは至難の業でしょう。しかし本作の脚本の素晴らしさは今年のアニメの中でも群を抜いています。才能ある二人の挑戦と挫折、そしてそこからの復活を支える友情の物語は、競馬やアイドルものの枠を超えた普遍的な価値を獲得しており、もはや尊いという言葉しか出てきません。

今年もっともヒットしたコンテンツですが、このアニメの成功が一役買っているのは間違いないでしょう。

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4 | SSSS.DYNAZENON

今年いちばんニートつらい

『SSSS.GRIDMAN』の雨宮哲監督によるシリーズ第2弾。演出やストーリーの良さは相変わらずですね。怪獣とロボットが戦っているのも相変わらずですが、本作ではなぜそんなアニメを作っているのかという制作者の自問自答というか、メタな視点が感じられます。

ダイナゼノンに乗っているのは、大人になれない、なろうとしない人たちばかりで、彼らが直面しているのは怪獣の脅威でもあり、現実の生活上の問題でもあります。

怪獣とロボットで遊んでいられる時間がずっと続けばいいかも知れません。しかし、やはりそういう訳にはいかないのです。成長して大人になること、何かを得るために何かを失うこと、これはそういう物語であるように感じられます。

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5 | 古見さんは、コミュ症です。

今年いちばん字がきれい

美少女だけど人付き合いが苦手な古見さんと、彼女に友達を作ろうと画策する只野くんたちのドタバタコメディ。テンポ感の良い演出が冴えており、ギャグアニメとしては今年一番ではないでしょうか。

しゃべれない演技をする声優というのも大変でしょうが、古見さんの周りのキャラのイカれっぷりが甚だしく、それにさらに輪を掛ける中の人の怪演ぶりが大きな見どころ。声優ってヤバいですね(偏見)。

しかし自分にとってのコンプレックスが他人から見ると魅力的というのはよくある話で、人の魅力とは不思議なものです。ベラベラしゃべる古見さんも見てみたいような気もしますが。

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6 | のんのんびより のんすとっぷ

今年いちばん最終回

原作も完結し、アニメもついに最終回を迎えたのんのんびより。

田舎ののんびりとした風景とゆったりとした時間の流れの中で、どこにでもありそうな、でも特別な子供たちの世界というノスタルジックな魅力は変わりませんが、ファイナルシーズンということもあって各々成長が見られるのはどこか寂しい気もしますね。

日常というのは変わらないようで変わっていくものです。この変わっていく日常を捉えたという意味でも稀有な日常系アニメだったと思います。

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7 | 進撃の巨人 The Final Season Part 1

今年いちばん大学デビュー

『進撃の巨人』もいよいよファイナルシーズン突入ということで、ストーリーが大きく動きます。

巨人に襲われる恐怖というパニック映画的な展開から、大国間のイデオロギーによる対立という政治的な問題に話の軸足が移り、自分にとって都合のいいプロパガンダを盲信する民衆どうしの争いは、現実世界でも横行している妙なナショナリズムと重なって、人間の抜きがたい愚かさを痛感させます。そしてこうしたストーリーの転換でも説得力と面白さを失わない作者の力量は大したものですね。

エレンの豹変ぶりには思わず大学デビューかよとつっこんでしまいましたが、1月から始まるPart 2では、この辺りもどう風呂敷を畳んでいくのか楽しみです。

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8 | ゾンビランドサガ リベンジ

今年いちばん佐賀

ゾンビがアイドルをやるという良く分からないアニメが、良く分からないテンションで帰ってきました。

めちゃくちゃなストーリー展開は相変わらずで、コメディとして快調に飛ばしますが、ゆうぎり回は大河ドラマのような歴史巨編になっており、佐賀にそんな歴史があったんだという驚きと共に妙な感動に包まれます。なんだこれ。

第1期でゾンビのアイドルという自己を確立してしまったので、この第2期ではゾンビネタというかゾンビがアイドルであることの意味みたいなものが薄れてしまっているのはちょっと残念ですね。

結局伝説の山田たえの正体は明かされませんでしたが、映画化決定ということでいよいよ完結でしょうか。

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9 | オッドタクシー

今年いちばんけもののフレンズ

大して可愛くない動物キャラたちの、妙に生活臭あふれる地味なアニメが始まったなと思いきや、幾重にも張り巡らされた伏線が見事に回収されていく様は圧巻です。

異世界モノのようなテンプレありきのアニメが溢れる中、オリジナルアニメの利点を生かしストーリー構成の面白さだけで魅せるという珍しいタイプのアニメで、かつ成功したということで大きな存在感を示しました。若干無理のある展開がなくもないですが、これは大した問題ではないでしょう。

こちらも映画化決定とのこと。しかし人気出ると映画やりがちよね。

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10 | かげきしょうじょ!!

今年いちばん宝塚

この作品に登場する少女たちは皆、自分の生まれた境遇や持って生まれたものを重荷として、呪いのように抱えて歌劇学校に入学してきます。生まれ持ったものは変えようがありませんが、それは自分を縛る足枷にもなれば、自分にしかない翼にもなり得ます。

歌劇学校での修練は、努力によって自分の才能を開花させると同時に、この呪いを自らの手で祝福へと変えようとする過程でもあります。この点においてこの作品は、単なるスポ根を超えた普遍的なメッセージを持った物語になっていると思います。

女の園特有なのか、過剰にドス黒いところもありますが、このメッセージの力強さは変わりません。

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