2017 ベストアニメ

2017 ベストアニメ

秋アニメも続々と最終回を迎え、早いもので今年ももう終わりですね。

というわけで2017年の個人的ベストアニメトップ8をランキング形式で紹介しますよ。まだまだ動画配信サービスで視聴可能なので、見逃してたわーという方は年末年始にチェックしてみてはいかがでしょうか。

01 | メイドインアビス

第一話の冒頭から背景の美麗さに驚愕し、ヌルヌル動く作画に圧倒され、スタッフの並々ならぬ気合の入れようが伝わってきます。

お話的には世界で最後に残された秘境である大穴「アビス」を探検するというものですが、ジュブナイル的な冒険譚かと思いきや内容はなかなかにハードです。

この作品の鍵となっているのは人間の持つ度し難い「好奇心」という欲望です。リコやライザのアビスの深層に惹かれる避けがたい冒険心も、ボンドルドのアビスの真相を究明したいという手段を選ばぬ欲求も、ヒトの持つ本性として同じ源から発しており、その表れは大きく異なりますが、いわば同じコインの裏表とも言えるでしょう。

その好奇心ゆえの帰結として残酷なシーンも登場しますが、それはこのアビスという世界を描くための「物語の必然」であって、安易な刺激や感動の為に人が死ぬそこらへんの作品とは一線を画しています。

アビスの性質自体が不可解ですが、それは自然がそうであるものであって人知を超えたものであり、ヒトの本性もまた自然であって人の善悪を超えたものです。ここではアビスの底を目指すという物語が、ヒトの深層を描くこととパラレルになっています。

ここ10年でも屈指の名作だと思います。

それにしてもナナチの白髪のボブにウサ耳という造形は作者天才かよと思いました。ナナチハカワイイデスネ。

続編の製作も発表され、今後の展開も非常に楽しみです。

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02 | けものフレンズ

今年一番話題になったアニメといえばコレ。イロモノに見られがちかも知れませんが、ここまで話題になるだけの実力の伴った傑作と言えると思います。

『けものフレンズ』の魅力は、動物を「原作」とした多彩なキャラクター達と、緻密に計算されたストーリー展開にあります。

ストーリーは大きく3つの流れから成り立っており、

  • 記憶のないかばんちゃんが、サーバルと一緒に自分が何者であるかを調べる旅をする
  • アライさんとフェネックが「パークの敵」の後を追う
  • ミライさんの過去の記録が徐々に明らかになる

それぞれの流れが互いに伏線となりながら徐々に接近して行き、見ている人は愉快なキャラクター達の大騒ぎにたーのしー思いをしつつも、それにしても一体ジャパリパークとは何なんだろうか、という謎と不安を徐々に深めていく事になります。

毎回の引きの良さもあって、後半にはあと1週間も待てない!という状態に持って行かれ、ついにクライマックスで3つの流れが合流、

全ての謎が明らかに → ラスボスとの戦い → そして新たな旅立ちへ…

という完璧とも言える展開で、そのカタルシスと言ったらないです。1話切りして本当にすみませんでした。

これから見る人は必ず3話までは見ましょう。←重要

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03 | 少女終末旅行

ジャンルとしては日常系に入ると思いますが、人間以外の生物が絶滅し、人もまた滅びようとしている世界が舞台となっています。なんというか、ポスト・アポカリプス日常系とでも言うのでしょうか。

かつて栄えた文明の名残である人影のない人工物の中を、女の子二人があてもなく旅をして行きます。二人のゆるいやりとりにホッコリしつつも、背後にある濃い死の影が消えることはありません。

何気にお風呂回や水着回(着てない)が多かったり、酔っ払って月明かりの下ではしゃいだりなど、日常系の醍醐味である女の子の可愛さが堪能できる作品なんですが、舞台設定ゆえにそれが切なく、夏の終わりの線香花火のような不思議な魅力のある作品です。

日常を最も際立たせるのはその終わりなのかもしれません。

あと、OP、EDとも素晴らしい出来です。今年のOP、ED大賞を選ぶならこの作品ですね。両方とも1回も飛ばさずに見たアニメは久しぶりです。EDはまさかの原作者一人原画と言うおまけ付き。

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04 | リトルウィッチアカデミア

元々は文化庁の若手アニメーター育成プロジェクト「アニメミライ」への応募作品でしたが、その後劇場版の公開、そして今回のテレビアニメシリーズの製作と、人気の高さを伺わせます。今作も期待を裏切らない面白さでした。

シャリオの魔法ショーに魅了されたアツコが、魔法も使えないのに憧れだけで魔法学校に入学する、という魔法少女の学園モノですが、王道の成長物語、群像劇となっています。

多彩なキャラクター達も魅力です。それぞれのお当番回はぶっ飛んだものが多かったですね…個人的に好きなのはコンスタンツェ回です。理知的な天才エンジニアと、アホだけど発想だけは豊かなアツコとのコンビネーションとかいいですね。コンスタンツェは結局一語も発しなかった気がしますが、中の人のギャラは(ry

最初は反目していたダイアナとも和解していく過程は王道展開ですが、二人の関係性を含めた設定やストーリー展開はよく練られており、2クールの長尺ですが捨て回などない驚異の出来で毎回楽しめます。

製作はトリガーということもあって、作画的な見所も満載。時折無駄にアツイ回もあってあれ、見るアニメ間違えたかな、という時もありますが。さすがのクオリティです。

Netflixでは今シリーズを含め全ての作品が視聴可能です。

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05 | NEW GAME!!

こちらは『NEW GAME!』の第2期です。

1期も丁寧な作りとキャラの可愛さで非常に楽しめましたが、これらは2期でも健在。ゲーム制作会社に入社した新人の2年目のお話という事で、2期ではより「お仕事」にフォーカスが当たっています。

仕事をしていく上では、どうしても自分の未熟さや他者との軋轢、会社の方針との齟齬など、書いていても胃が痛くなるような事に直面しますが、その辺りを正面から描きつつも、深刻になりすぎず『NEW GAME!』らしく切り抜けていて、女の子たちがキャッキャウフフしているだけでない「お仕事アニメ」としても高く評価できる作品になったと思います。まあキャッキャウフフしてるだけでも十分面白いんですけどね。あら^〜。

2期という事で、1話や最終話など1期を意識した演出もあり、1期からのファンとしても嬉しいです。作画もいいですが、演出が丁寧なのがいちばんの魅力な気がします。ぞい。

以下では1期、2期とも視聴可能です。

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06 | 宝石の国

原作の漫画は読んでいたんですが、アニメも楽しめました。この稀有な世界観と物語はメディアを超えた魅力がありますね。

ストーリー構成はアニメの尺に合わせて上手く整理されており、ドラマチックな展開を際立たせています。シリアスさとユーモアのバランスも絶妙で、改めて良くできた作品だなーと思います。というかフォスはやらかし過ぎですよね、やっぱり。ほぼ毎回割れてるし。

宝石たちがフルカラーになったのはアニメ化の大きな恩恵ですね。光の反射や透過の表現も綺麗です。またフルCGを活かした戦闘シーンはかなり力が入っており、これも大きな見どころとなっています。あと波の描写とかも良かったですね。砂浜に砕ける白い波頭の表現など美しいです。元々CGはこういう物理演算での表現が得意なはずなので、アイドルのダンスばかりでなくもっとこう言う表現が広まればいいなと思います。

アニメは含みのある終わり方をしましたが、ちょうど原作の半分ぐらいですね。原作もいよいよ佳境ですし、今後の展開が気になるところです。

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07 | 月がきれい

文学好きの男子中学生と陸上部の女子中学生が、初めて付き合う事になって…

文学好きの男子が主人公というと、ふと『惡の華』を思い出してしまいますが、安心して下さい。真っ当な純愛モノです。いや、『惡の華』は名作ですけど。

恋愛モノの漫画やアニメにありがちな現実離れした展開などに頼らず、いかにもありそうなシーンを静かに重ねながら、丁寧にキャラの心情や事の推移を描いていきます。こういう演出は珍しくて逆に新鮮ですね。キャラデザや演技のディレクションもアニメアニメしておらず、リアルな恋愛をアニメーションで描きたいという製作者の意志を感じます。

恋愛以外にも学校や部活、親や友人関係など、若いって色々面倒だったよなーなど思いつつ、そのもどかしさというか甘酸っぱさにギャーとなりながらつい最後まで見てしまいました。普段恋愛モノはあまり見ないのですが。というか壁が足りない。

誰もが一度は通る道を丁寧な筆致で描いた、多くの人が共感できる良作だと思います。よく考えたらそんな経験なかったけど。

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08 | 異世界食堂

ドラゴンやエルフ、リザードマンなど、異世界モノらしいキャラは登場するものの、特に戦うでもなくなぜか日本の洋食屋で飯を食ってるという異色作。

各話は基本的に、登場人物たちがひょんな事から「洋食のねこや」にやって来るようになったきっかけを描いたオムニバス形式になっています。異世界モノと言う設定をうまく活かして、キャラ毎に多種多様なストーリーが展開され毎回楽しめます。ガガンポさんの回は衝撃でしたね…

異世界の非日常と日本の洋食屋という日常の対比や、「ねこや」での密室劇に対して異世界でのストーリーの多彩さなど、設定や構成が絶妙で、独特のおかしみを生んでいます。これは着想の勝利ですね。

最近の深夜アニメは異世界モノの墓場になっている感もありますが、この作品は純粋に話の面白さで楽しむことのできる出色の出来と言えると思います。

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