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Netflixで見られるおすすめアニメ作品10選 〜「DEVILMAN crybaby」から「少女革命ウテナ」まで〜

Netflixで見られるおすすめアニメ作品10選 〜「DEVILMAN crybaby」から「少女革命ウテナ」まで〜

2018年から立て続けに日本製のオリジナルアニメも配信され、アニメファンにとっても目が離せない存在となったNetflix(ネットフリックス)

「Netflixアニメスレート 2017」では日本のアニメをグローバルに展開していく戦略が発表されましたが、その成果が着実に出てきつつあるようです。

オリジナル作品ももちろん注目なのですが、それ以外にも結構な数のアニメ作品が配信されているので、ここではNetflixで配信中のおすすめのアニメ作品を10本挙げてみたいと思います。

TVシリーズ

DEVILMAN crybaby (2018)

Netflixオリジナルアニメ。

永井豪の「デビルマン」をラストまできっちりアニメ化。「デビルマン」の凄さは、人間の暗部を抉り出し一切希望を抱かせないというその極度にシビアなスタンスにある思っているのですが、このアニメ化での美希のラストシーンはそれが特に痛切に表現されており、それだけでもこの作品を見るべき価値のあるものにしています。

内容的にエログロが多めですが、Netflixのみの配信のためTV放送の様に妙な表現の制限がないのも作品にあっていますね。ヒロインが乳首丸出しで清々しい。

湯浅作品に特徴的なポップで躍動感のある動きや、映像と音楽が相俟って生み出すグルーヴ感など、「アニメーションの現在」が感じられる作品でもあると思います。

Netflixのアニメとしてはまず見て欲しいですね。

DEVILMAN crybaby

Back Street Girls -ゴクドルズ- (2018)

下手を打ったヤクザが指を詰める代わりに性転換させられてアイドルで稼ぐ羽目になるというエゲツない設定のギャグアニメ。出落ちかと思いきや、設定を生かした下ネタからアイドルの闇まで、最後まで勢いが衰えないネタの数々を連発しもう最高です。

昔のフラッシュアニメかって言うほどほとんど止め絵で必要最小限しか動かないんですが、ネタの秀逸さと役者の演技を含めた演出で全く気にならないというか、むしろそのチープな感じが独特の味わいを生んでいますね。5分アニメのようなノリで30分持ってしまうこと自体が驚愕です。

最近のアニメでは一番の大穴じゃないでしょうか。あまり話題になってない気がするのでみんな見て欲しい。

Back Street Girls -ゴクドルズ-

監獄学園(プリズンスクール) (2015)

元々女子校だった高校が共学になり、初の男子生徒として入学した5人と生徒会の面々が繰り広げる熾烈な争いを描いた作品。いやー乱世乱世。

モテない男子高校生の行き場のないリビドーを高純度なギャグアニメとして錬成してしまった作品。下ネタ多めですがとにかく笑えます。

花役に花澤香菜を当てるなど配役も狙いすましてますね。花澤さんのお箱とも言えるキレ芸が存分に堪能でき、勝手に彼女の代表作だと思ってます。監督分かってるなー。

2014年の『SHIROBAKO』に続いて本作と、水島努監督と横手美智子脚本コンビの絶頂期の作品でもあります。水島監督は最近ガルパンばっかりやってますが、早くこういう作品にも戻ってきて欲しいものです。

監獄学園(プリズンスクール)

化物語 (2009)

©︎西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

西尾維新の物語シリーズのアニメ化第1作。

怪異譚という古典的な文学ジャンルをベースに現代的なサブカル要素を容赦なく注ぎ込んだ原作を、新房昭之率いるシャフトが実験的とも言える手法でアニメ化。

原作の独特の言い回しをそのまま再現したセリフに、大胆なレイアウト、装飾的な画面、大量に表示される活字、テンポのいいカット割りなど、新房演出の真骨頂を味わえます。キャラの印象的なポージングは後に「シャフ度」という言葉も生まれることに。

各ヒロインも魅力的ですが、特にラストのガハラさんと星空を見上げながらの告白シーンはあまりにも美しく、アニメ史上でも屈指の愛情表現シーンと言えるでしょう。

その後シリーズの全アニメ化が進行中でNetflixでも配信中ですが、最初の本作が衝撃的すぎたせいかその後本作を超えるものは出ていないように思います。シリーズ物の宿命でしょうか。

化物語

蟲師 (2005)

© 漆原友紀/講談社・「蟲師」製作委員会

常人には見えない奇怪な形態の「蟲」を巡る物語。蟲を媒介として人々の様々な喜怒哀楽が語られます。

原作は漆原友紀による漫画で近代以前の日本を舞台としており、昔話の様な怪異譚の様な独特の雰囲気を持った作品ですが、原作のテイストを余すところなくアニメに落とし込んでおり、異形の者たちの時に妖しく、時に美しい世界の表現が見所です。

長濱博史監督はこの『蟲師』もそうですが、『惡の華』では作品の性質に合わせてロトスコープを採用するなど、アニメーション表現における内容と形式の一致に非常にこだわりのある作家で、私がNetflixでオリジナルアニメを作って欲しい人の筆頭でもあります。

『惡の華』は個人的に超名作なんですが、パッケージを売るビジネスモデルにはどう考えても乗るわけがなく、そういう作品こそNetflix向きだと思うんですがどうでしょう。

蟲師

プラネテス (2003)

©幸村誠・講談社/サンライズ・BV・NEP

幸村誠の漫画をアニメ化。

宇宙空間のデブリを処理する危険な重労働を生業とする人々を描いた、言わば「未来のブラック企業」を舞台とした作品です。

現実ではSpaceX などの民間の宇宙開発企業も登場し、人類が火星に降り立つ未来も現実味を帯びてきましたが、そうした惑星間航行が一般的になったという世界設定。

夢の技術が実現した輝かしい未来のようでありながら、それを陰で支える人々は落ちこぼれの吹き溜まりのような部署で肉体労働や理不尽な上からの要求に喘ぎながら働いているという描写は妙に身につまされるものがありますね。

未来を舞台にする事でむしろいつの時代も変わらない人生の普遍的な問いを浮き彫りにしている作品と言えるかも知れません。

プラネテス

少女革命ウテナ (1997)

©ビーパパス・さいとうちほ/小学館・少革委員会・テレビ東京

幾原邦彦監督がオリジナルアニメとしては初の監督を務めた作品。

幾原作品の独特な世界観が既に遺憾なく発揮されており、主人公の服装からして上が学ランで下がスパッツというヘンテコを通り越してもはや変態です。わけが分からないよ。

奇抜なデザインワークス、大胆な画面構成に突然始まる影絵芝居、今であればシャフ度と言われそうな動きなど、改めて見直しても斬新かつ衝撃的で、この20年でアニメ表現は絵がキレイになっただけでむしろ衰退しているのではないかと思わせるほどです。

1話の時点でほぼ全てのエッセンスが詰め込まれていると言ってよく、気になる人はとりあえず1話を見てみることをお勧めします。約20年前の作品ですがHDリマスターされたものが配信されており、画質はかなり綺麗になっています。

ウテナ以来実に14年ぶりとなった監督作品の『輪るピングドラム』もNetflixで配信中。こちらも独特の世界観を堪能できますね。なぜ『ユリ熊嵐』が無いのか!ガウガウ!

少女革命ウテナ

映画

失くした体 (2019)

切断された右手が元の体を求めて歩き回るという奇想溢れるフランスのアニメ映画。Netflixが配信権を獲得し、Netflixオリジナルとして見ることができます。

人体の一部が勝手に動き回る一見ホラーな話に思えますが、ストーリーが進んでいくとともに、これはある青年の失恋の話であることと、青年の過去の喪失の記憶が徐々に明らかになっていきます。そして最後に全てが繋がった時、なぜこれが失った体を求めて彷徨う右手の物語なのか、その象徴する意味を理解する事になります。

その奇妙なイメージと寸断され全体像の見えないストーリーに思わず引き込まれるという構成も見事ですが、最後にその意味が明らかになった時には人生における喪失と成長のほろ苦い余韻に静かに浸る事になるという、題材からは予想もできない非常に繊細で味わい深い作品です。アニメ映画では断然オススメ。

失くした体

BLAME! (2017)

Netflixオリジナルアニメ。

弐瓶勉の原作漫画をポリゴン・ピクチュアズがフルCGで映画化。このコンビは『シドニアの騎士』でもお馴染みで、ポリゴン・ピクチュアズは日本のアニメスタジオでは最も早くからNetflixと関係を築いています。

人の造った建築物が人間の管理を離れて自己増殖していくディストピアを描きます。連載開始は1997年なので20年越しの映画化ですが、古さを感じさせないどころか近年のAIやロボティクスの急激な発展を見るとむしろ現実感を増しているとさえ言え、先見の明を感じます。さすがツトム。

極度に発達したテクノロジーを描きつつも、基本的なプロットは外敵の脅威に怯え食料が枯渇していた村に不思議な力を持った旅人が現れ安息の地に導く、という神話的普遍性のあるものなっています。

ゴリゴリのハードSFですが、地に足のついたストーリーが上手く作品を支えており、多くの人が楽しめる作品になっていると思います。

BLAME!

この世界の片隅に (2016)

原作漫画の映画化に際し、クラウドファンディングで資金を集めヒットにつながったといういかにも「今っぽい」経緯を持つ作品。

第二次世界大戦中に広島から呉へ独り嫁いだすずが主人公ですが、すずのどこか抜けた性格と味のある絵柄もあり、ことさら戦争の悲惨さを訴えるわけではなく、むしろ厳しい環境の中でも日々の生活をひたむきに生きる姿が心を捉える作品です。

とはいえその後広島で何が起きたかはご存知の通り。戦争によっていかに人々の日常が破壊されるのか、そして生き残った人々はそれを日常として生きていかなければならないという事実も痛切に胸に迫ります。

今の感覚からすると考えられない様な描写がある一方で、いつの世も変わらない人情も描かれ、人間の価値観がいかに状況によって変わってしまうのか、あるいは変わらないのかという事についても考えさせられます。

この世界の片隅に

※配信作品は 2020年1月3日時点のものです。配信期間が終了した場合視聴できなくなるのでご注意ください。

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